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ブッダの教え

十住心論

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十住心論

十住心論


『十住心論』(じゅうじゅうしんろん)、正確には『秘密曼陀羅十住心論』は、空海の代表的著述のひとつで、830年ころ、淳和天皇の勅にこたえて真言密教の体系を述べた書(天長六本宗書の一)。

「十住心」とは、低次元の心の世界から高次元の心の世界へと次第に進展し向上する過程を、仮に十段階に分けたものである。

十住心の内容

人が本能のままに生きている段階から、さまざまな『覚り』の段階を経て、究極のさとりに至る道を10段に分類して説明している。

旅立ちの式をすませてこれから御仏をめざして出発しますが、一体、いくつの宿場を馬で乗り継いで行けば、目指す所へ到着できるのでしょう。御仏は明らかにこれを説いておられます。すなわち十か所で乗り継げば、目指す金剛の道場(最高の覚りの境地)に着けるのです。



第一、本能のままに生きる心

善悪を知らず欲望のままに生きている段階。

凡夫は狂い酔っていて、自分の非をさとりません。ただ性欲と食欲だけを思っているところは、丁度あの牡羊(おひつじ)と同じです。



第二、人の道に目覚めて、道徳に従って生きる心

子どものように愚かだが、徐々に「善」に目覚める段階。

外からの色々の因縁によって、ふと節食して、他人に施そうとする心が芽生えます。丁度、穀物の種子が、水や光を得て芽生えるようなものです。



第三、神や天を仰いで生きていく心

仏教以外の諸宗教を信じる人々は、最後には天(極楽浄土)に生まれることを理想として生活し、それによってしばしの安楽といこいを得ているのです。丁度、何もわからぬ赤子が母親の腕の中にいたり、子牛が母牛と一緒にいる時と同じで、まさにつかの間の安らぎです。

第一から第三の段階までは、苦しみの闇から抜け出ることはできない。


第四、(小乗仏教)声聞乗の心

すべては五蘊による仮の姿であり、「われも無い」と信じる。

小乗仏教に入って、※実我とか霊魂とか、神話の神は否定しますが、五蘊等の諸法は存在すると理解します。「法華経」で羊車にたとえられる仏教が、すべてこれに相当します。

※実我…アートマン、インド哲学で人間の自我の中心にあるものを認め、神から与えられたものと受け取っていたが、仏教ではこれを認めず、反対の無我を説く。

良い話を聞いた時だけでなく、日常の些細なことからも覚りを得るが、覚りはすぐに消えてしまう。



第五、小乗の縁覚乗の心

縁起」の法に目覚める段階。

十二因縁という考えを修していけば、煩悩は根っこから抜き去られて、業に左右される人生から解放されて、無言のうちに、阿羅漢という聖者の位に達することができます。

心身の状態が悪くなるとすぐに気づくため、悪くなった原因(煩悩)を取り除くことができる。




第六、(これ以降が大乗仏教となる)法相宗の心

自分自身の覚りから、「他人のため」「社会のため」に覚りを開こうと進む。

大乗の菩薩道」に目覚める段階。

縁のない多くの人々に対してまで慈悲の心をおこします。すべての外界の事象は自分の心に影った(うつった)映像のごときものと受け止めて、あらゆる囚われを除きます。これすなわち唯識という教えで、法相宗の心です。



第七、三論宗の心

」と「」の瞑想を修する。文殊菩薩に祈り、般若の智慧をめざす。

不生・不滅・不断・不常などの八不中道を修することによって、極端な見方を離れ、仏教本来の中道に立ち、さまざまの誤った見方を断ち切って、ただひたすら空を観じると、心の本源が空寂となり、すべてが無相(現象的なものをすべて離れた境地)になって安楽になります。


第八、天台宗の心

「不二法門」。本来、すべては一であり、不浄はなく清浄である。

大宇宙の構成を覚る(神の意識が目覚める)


天台の教えを修行すると、この世のすべての現象は一つにまとめられ、みな本来、清浄であり、外界の事象も、それを観ずる智慧も融け合って一つのものになっています。この受け止め方を知っているのは顕教の毘盧遮那仏です。



第九、華厳宗の心

普賢菩薩のさとりの世界であり、輝かしい華厳の世界

素晴らしい大宇宙に生きている実感を得る。すべてが『感謝』の世界。

一般的には水と波とは別のものと見えているが、水には自性がなく、風が吹くことによって波が立つわけで、実は、水と波とは同じものだと言うことが分かります。

しかし、この華厳の教えも、究極の悟りとは言えないのです。如来(みほとけ)のいましめを受けて更に次に進んでいくのです。



第十、真言密教の心

胎蔵・金剛曼荼羅の世界。「わが身に無数の如来あり、これ賢劫の千仏なり

顕教の教えは、宝の箱の塵を祓うような効用しかありません。真言密教にこそ宝の庫を開き、中の秘宝が広げられて、如来(みほとけ)の徳をこの身に体得することができるのです。

(阿字観の瞑想によって)密教の世界に入ると、無明の闇は破り捨てられ、自分自身が(密教の正当の後継者)『金剛さった』であることを自覚する。



諸天尊と一体化する

三密で真言を唱えると、曼荼羅の諸天尊がさとりの境界に並んでいるのが見える。


煩悩を菩提心に変える

煩悩がある時には、不動明王と一体化すれば、不動明王が悪魔をにらみつけて煩わしさが消え失せて安らかになる。

貪瞋痴の煩悩で悩みの闇にある時には、(一体化した)降三世明王が三度叱りつければ、三毒(貪瞋痴)が消えて無明にもとづく煩わしさが枯れて静かになる。


小欲を大楽に変える

(一体化した)八供養の天女たちは、仏となった自分自身に広大な供物を供えて讃える。

(一体化した)四波羅蜜菩薩という禅定女たちは、敵悦(エクスタシー)という法楽を与えてくれる。

密教の境地は、人間の心の奥底(秘めた部分)の境涯ですから、秘密の秘密であり、覚りの中の覚りというべきです。



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